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視能訓練士の仕事内容とは?|国家資格を取得している眼の検査・訓練の専門家2025.04.04 新着情報・ブログ

視能訓練士の仕事内容とは?|国家資格を取得している眼の検査・訓練の専門家

視能訓練士をご存じでしょうか?

名前ぐらいは聞いたことがある方はいるかもしれませんが、仕事内容まで知っている方はそれほど多くないでしょう。

視能訓練士は、眼の検査や訓練などを行い眼の健康を守っている専門家です。

ここでは、視能訓練士の業務内容や眼科医との違い、視能訓練士になるために必要な資格などについてご紹介します。

視能訓練士とは?

視能訓練士は、眼についての専門的な知識と検査技術を持ち、視能矯正や視機能の検査、視力にかかわる機能訓練指導などを行う専門職です。乳幼児から高齢者まで世代を超えて眼の健康を守り、快適に見える生活を支えています。

視能訓練士は、さまざまな検査を行い、視力や視野、眼の中の異常などを評価し、眼科医が診断や治療をするうえで必要なデータを提供しています。提供されたデータが正確であればあるほど、眼科医はより正確な診断と治療が行えるようになります。そのため、視能訓練士は、眼科診療に欠かせない存在であり、視能訓練士がいるかどうかでクリニックの診療レベルに影響を及ぼすほど重要な存在です。

眼を酷使するスマートフォンやパソコン、ゲームなどを長時間する方が増え、視力低下や眼の疲れを訴える方が増加しています。また、高齢化にともない眼疾患も増加しているため、視能訓練士の活躍が期待されています。

視能訓練士と眼科医の違いは?

眼科医は、患者さんを診察して病気を診断・治療します。一方、視能訓練士は、眼科医の指導のもと、眼の検査や訓練、診療サポートなどを行います。また検査を通して病気の経過観察や治療予後の判定基準の作成なども行っているのです。

ひとりの眼科医に対して3人の視能訓練士が必要と考えられています。現在、眼科医は約14,000人いるのに対し、視能訓練士は約10,000人しかいないといわれています。このように視能訓練士が不足しているため、視能訓練士がいないクリニックが少なくありません。

視能訓練士の業務内容

視能訓練士の業務内容は主に以下の4つに分類されます。

  • 視能検査
  • 視能矯正
  • 健康診断
  • ロービジョンケア

それぞれの業務内容について詳しく紹介します。

視能検査

視能訓練士は、眼科医の指導のもと眼の状態を調べるためにさまざまな検査を行い、正確な検査結果を眼科医に提供し、診断・治療が行えるようなサポート業務をしています。

視機能検査の一例を以下で紹介します。

・視力検査:大部分の方が受けたことがあると思いますが、視力を調べるため一般的に「C」マークの空いている方を答えてもらう検査。

・眼圧検査:眼球に空気を当て、眼圧を測定する検査。緑内障や網膜剥離などを調べる検査として行われています。

・視野検査:見える範囲(視野)を測定し視野異常がないか調べる検査。

・屈折検査:眼の屈折度を測ることで、近視・遠視・乱視の度合いを調べる検査。適切なメガネやコンタクトレンズを処方するときにも行います。

・眼底検査:眼の奥の網膜や視神経の状態を確認する検査。糖尿病網膜症や加齢黄斑変性など診断に役立ちます。

・色覚検査:色の見え方の異常を調べる検査。

・眼位・眼球運動検査:眼の軸のずれや眼の動きに異常がないかを調べる検査。斜視の有無などが調べられます。

・角膜内皮細胞検査:角膜の透明性を保つ角膜の一番内側にある角膜内皮細胞の数や形を調べる検査。

・眼底三次元画像検査(OCT):眼の奥の網膜というところの断面図を撮影する検査。

子どもは自分で正確な症状を伝えられないこともあり、カルテの結果を見ただけではわからないことがあります。より正確に状態を把握するためには、子どもが検査を受けているときにどういう状態だったか知ることが大切です。視能訓練士は、検査結果だけでなく子どもがどういう状態で検査を受けていたかを把握し、それを眼科医に伝え、正確な診断・治療につなげることもしています。

コンタクトレンズの処方に必要な検査

コンタクトレンズは、高度管理医療機器です。角膜の上に直接レンズをのせるため、適切なものを選ばないと重大なトラブルが起こる可能性があります。

眼の健康を守るため視能訓練士による正確な検査を受け、自分の眼に合ったコンタクトレンズを選ぶことが大切です。

医師がコンタクトレンズを処方するときに、視能訓練士が行う検査を紹介します。

  1. 眼の状態の確認

眼の表面に傷があったりするとコンタクトレンズをすることで悪化する可能性があるため、コンタクトレンズが使用できる状態かどうかを確認します

  • 屈折検査や視力検査

適切なコンタクトレンズを選択するために、近視・遠視・乱視の度合いや視力を調べます。

  • コンタクトレンズの種類や特徴の説明

患者さんの眼に合った度数やカーブのコンタクトレンズを選びます。カーブが合っていないとレンズがずれてしまったり、外しにくくなったりといったトラブルが起こる原因となります。

  • コンタクトレンズの装用

コンタクトレンズを装用した状態で視力検査をして度数調整をします。視力値、度数、装用状態の確認をして、コンタクトレンズが眼に合っているか確認します。

  • 装用練習

コンタクトレンズの入れ方や外し方、レンズのレア方法、使用上の注意、定期検診の説明をします。誤った装用方法や不適切なレンズケアは、トラブルの原因になるので、患者さんに丁寧に説明し、正確に理解してもらうことが大切です。

視能訓練士は、患者さんの眼を守るために、専門知識と検査技術を活かしてコンタクトレンズの処方に必要な検査を行っています。

視能矯正

視力は6~7歳頃までに発達するため、視能矯正は子どもを対象にした業務です。

幼少期の代表的な眼の病気である斜視や弱視は、幼少期に訓練することで視機能が回復する可能性があります。視能訓練士は、さまざま検査を行い斜視や弱視の原因や状態を評価し、眼科医と相談してプログラムを計画し、訓練することで視機能の回復を図ります。

斜視は、両方の視線が同じ方向に向かず片方の視線がずれた状態で、モノが二重に見えたり、立体的に見る力が低下したりし、視力が十分に発達する可能性を妨げてしまう可能性があります。

弱視は、片方の目もしくは両方の目がメガネやコンタクトレンズをしても、十分に視力が出ない状態のことです。

子どもは検査を受けている間、集中力が続かないのですばやく検査をすることが大切です。また、きちんと検査ができないと正しい検査結果が出ないので、視能訓練士は子どもに検査を理解してもらえるよう声掛けをして、きちんと検査を受けてもらえるよう心掛けています。

健康診断

視能訓練士は、眼の病気の早期発見、早期治療のために、病院や学校、職場、保健所での集団検診の視機能検査を担当しています。

3歳児健診や就学時健診では、弱視や斜視を早期発見し、できるだけ早く視機能の回復を図る訓練を始められるように努めています。

ロービジョンケア

ロービジョンケアとは、病気や事故による外傷などで、現代医学では視機能の回復が難しく、日常生活に支障をきたしている方をサポートする仕事です。視能訓練士は、視機能の低下に対する補助具の選定や使用方法訓練などを通して、生活の質が改善するようサポートします。乳幼児から高齢者までサポートしています。

視能訓練士になるには?

視能訓練士になるには、毎年1回実施されている視能訓練士国家試験という国家試験に合格しなければいけません。視能訓練士国家試験は誰でも受験できるわけではなく、決められた教育機関で眼の知識や検査技術を勉強し、はじめて受験資格を得ることができます。

視能訓練士国家試験の受験資格を得るには?

視能訓練士国家試験の受験資格を得るには、主に以下の3つの方法があります。

  1. 視能訓練士養成専門学校(3年制)を卒業
  2. 視能訓練士養成課程がある大学(4年制)を卒業
  3. 大学や短大を卒業後、視能訓練士養成校(1年以上)を卒業

視能訓練士国家試験の受験資格を取得するには、少なくとも3年間、専門的な知識や技術を学ばなければいけないのです。

まとめ

視能訓練士の業務内容や眼科医との違い、視能訓練士になるために必要な資格などについて説明しました。

視能訓練士は、眼の検査や視力矯正・訓練の専門家です。視力検査や眼圧検査、視野検査などさまざまな眼検査情報を、眼科医に伝えることが正確な診療につながります。

小さなお子さんの弱視や斜視のリハビリ、高齢者の視力低下へのサポートなど、幅広い年齢層を対象にした業務を通じて、眼科医と連携し患者さんの眼の健康を守っています。 視機能は、生活の質に大きく影響するため、早期発見・早期治療が大切です。少しでも気になる症状がある方は、当院の眼科医や視能訓練士までお気軽にご相談ください。



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